セリエＡ前半戦まとめ
いまや数少ないセリエ担当となった（何）身としてはやらないわけにはいけませんねｗ
年間を通して感じるのはかなり急速なセリエＡとしての"ブランド力"の低下。
10年前は世界最高の舞台はイタリアというのが世界の共通常識でしたが、いまやプレミアにもリーガにも人気に圧倒的な差をつけられる始末。
もっとも大きな敗因はプロダクト面での不備。
プレミアに象徴されるような「カルチョを世界に売り込む」という姿勢の圧倒的な欠如が今の結果を招いたといえます。
この件についてはモウリーニョも触れてましたが、スペクタクル面が劣るのはしょうがないこととして、レーガカルチョ自体にそもそもとして収益分配構造面での致命的な欠陥がある。
ただでさえカルチョスキャンダルで世間的なイメージを損ねたのに構造改革という面での改善を怠っているあたり、臭いものにふたをするというイタリア人の悪い部分が出てる。
そもそもぶっちゃけ言わせてもらうと、ユベンティーノの方々には申し訳ないですが「我々は2部降格という困難を乗り越えてきた」とかユベントスが被害者面してる神経が分からない。
自分たちがなんで降格したかわかってんの？審判操作とかスポーツマンシップを根底から揺るがすような行為をしていて、しかも後から圧倒的に処分が軽減されているのにまだ文句を言う姿勢がはっきり言って気に食わない。
それは同時に処分を受けたミラン、ラツィオ、フィオレンティーナにしても同じ。
これはインテリスタとしてではなく一人の人間としてすごく思う。
悪いことをしたから処分を受けたのにまるで被害者のような姿勢をとるあたりがオレがユベントスが大嫌いな最大の理由です。
若干話が逸れましたが、現実問題として直面しているのが３大リーグで遅れをとっているプロダクト面であって、その最大の理由が収益分配構造の欠如です。
たとえばプレミアリーグって言うのはＦＡから独立したプレミアリーグという株式会社であり、所属する２０クラブに最大の利益をもたらすような構造がしっかり構築されていますが、セリエの旧態依然とした構造は全然違う。
端的に言うと、テレビ放映権を始めとする収入がセブンシスターズ（パルマは降格しましたが）とその他のクラブで格差が異常なありすぎる。
プレミアはプレミアに昇格するだけでかなり莫大な収益がありますが、セリエはそうではない。
収益面を独占するビッグクラブと下との格差があり過ぎて、スタンディングの上でも試合結果の上でもジャイアントキリングなどほとんどないスペクタクルにかけた展開になってしまう。
ピッチ上でもスペクタクルが少ないのにこの状況はいただけませんね。
まぁ長々と書きましたが、結局のところそろそろセリエも変わっていかないとヤバイってことです。
それこそ３大リーグから脱落しかねん。
まぁ逆にこの構造欠陥のおかげで金融危機の影響が一番少ないのもセリエでしょうけど。
ちなみにオレの予想ではプレミアは2010年ごろから外貨の離脱による急速な凋落が始まります。
そのときにどれだけ魅力を示せるかがセリエの勝負ですね。
前置きが長くなりましたが前半戦の総括を。
順位 チーム名 勝点
1 インテル 42
2 ユヴェントス 36
3 ACミラン 33
4 フィオレンティーナ 32
5 ナポリ 30
6 ジェノア 29
7 ラツィオ 27
8 カターニャ 25
9 アタランタ 24
10 パレルモ 23
11 ASローマ 23
12 ウディネーゼ 22
13 カリアリ 21
14 サンプドリア 19
15 シエーナ 19
16 ボローニャ 15
17 トリノ 15
18 レッチェ 14
19 レッジーナ 13
20 キエーヴォ 9
現在首位インテルは7連勝中。11月以降のリーグ戦はすべて勝ってます。
贔屓目を抜きにしてみてもはやり優勝候補筆頭か。
なんだかんだ言っても今年優勝すればミランとスクデットの数で並ぶのでみすみすおとすことはないでしょう。
開幕前にリーグ制覇を最大の目標に掲げたミランですが、ここまでは若干期待はずれ。
ただしロナウジーニョの加入とピルロの離脱で長年ミランを支えてきたシステムを維持できなくなったにもかかわらず、この順位を維持してくる辺りアンチェロッティはさすが。
というかベルルスコーニとガッリアーニは阿呆になってきたんじゃないか？
毎年極端な補強繰り返してくるあたり、アンチロッティじゃなかったらどうなってたのか。
カカ、ロナウジーニョ、セードルフ、ピルロ、ベッカムというベッカムとグティのダブルボランチを想起させる夢の中盤が完成する後半戦に期待です（笑）
3位のユベントスはＣＬと平行で見れば期待以上。というか勝負強さが相変わらず。
おそらく最後までインテルに競ってくるのはユベントスであり、ブッフォン抜きでここまでやってるんだから当然復帰した後半戦も勝ってくるでしょう。
順位表全体に目を向ければ目に付くのは古豪の健闘とローマの凋落。
ナポリ、ジェノアはアルゼンチン勢を始めとした投資の成功でＵＥＦＡカップも狙える順位に。
特にナポリは戦力を維持できれば一昔前のパルマの位置に取って代わる可能性も。
ジェノアはやはりミリートを始めとする新戦力の大当たり。
両チームともホームで７勝1分け、６勝２分けと圧倒的な強さを誇るので、アウェイでの頑張り次第では後半戦にミランやフィオを蹴落とす可能性も。
ローマはポストでのボールキープとオフザボールの走りこみを基盤としたゼロトップシステムがトッティ、マンシーニの離脱で破綻。
システム修正でなんとか持ち直すもののもはやＣＬ出場権は厳しいか。
オリンピコが決勝の会場のＣＬに全力を傾けることになるんだろうケド、ＣＬ出場権とＣＬの結果次第では来季以降の予算が成り立たなくなって経営破たんに陥る可能性も。。。
ここからはガトー氏にならって印象に残った選手を挙げていきます。
一応インテル以外のチームからということで。
☆ＧＫ
安定感もついてきたフレイが筆頭。ドメネクは阿呆としか言いようがないですね。
控えＧＫとしてこれ以上ない貢献を果たしたマニンガーも特筆に値します。
中堅クラブではジェノアのルビーニョなんかは良い動きしてました。
☆ＣＢ
安定感では昨シーズンに引き続きキエッリーニ、レグロッターリエのユベントスの二人が秀逸。
特にキエッリーニはユーロ以降自信がついたのかマテラッツィの良い時に匹敵するＤＦになりましたね。
その他でポジティブだったのはナポリのカンナバーロ。
もはやファビオの弟という肩書きが不要なくらい良い選手になりましたね。
リーダーシップという面ではセリエでも飛びぬけて際立っていました。
あとはパレルモのカロッツィエーリも良い動きをしてました。
☆ＳＢ
最初にあげたいのはラツィオのリヒトシュタイナー。
もともとデ・シルベストリに注目してたんですが、安定感とタイミングで完全に格上でした。
ＳＢというかＷＢですが、ナポリの両ＷＢは圧倒的な存在感でした。
特にマッジョは崩しの局面においてはマイコンに次ぐ存在だったと思います。
懐疑的だったザンブロッタもさすがと言える部分が多くありましたね。
☆ＣＨ
一番に思い浮かぶのはブリーギ。
長年表舞台から姿を消していた選手がまさかあそこまで活躍するとは思ってませんでした。
デ・ロッシの安定感も相変わらず。
ナポリのガルガノも相変わらずの戦術眼が目立ちました。
中堅以下ではやはり目立ったのはウディネのダゴスティーノ。
ローマ出身（だったよね？）らしく素晴らしいテクニックとパスセンスの持ち主でしたが、中盤の底に配されて一皮むけましたね。
視野の広さが活きてます。
カリアリのダニエレ・コンティも良かったです。
☆ＳＨ・ＷＧ
はっきりいってあんまり思い浮かばないんですが、ウディネーゼのウイング、ペペとフローロ･フローレスはかなり良かったと思う。
とくにペペはあんなに活躍するとは思ってなかった。
ＷＧには珍しく守備意識も高いですし。
純粋なウイングではないですが、マスカーラはカターニャの戦術核といえますね。
☆ＯＨ
カカの能力の高さは相変わらず。単独での局面打開においてはおそらくロナウド以上。
特筆すべきはナポリのハムシクで間違いなくビッグクラブに引き抜かれるでしょう。
あれでまだ２１歳ですからね。
中位以下で目に付いたのはアタランタのドニ。
相変わらずいぶし銀な経験とファンタジーアがうまく融合したプレイを見せています。
☆ＳＴ
数字だけを見ればロナウジーニョは秀逸だけど、はっきりいってチーム的にはブレーキな印象しかない。
ミランがイマイチ乗り切れないのは明らかに彼のせいだし、戦術的意識の希薄さが最大の問題か。
トッティ、デルピエロの両ベテランはさすがの活躍。
特にＣＬ含めて勝負どころでチームを引っ張っていくあたりはさすがとしか言いようがない。
ラベッシはドリブルだけならもはやセリエ随一の存在だし、サラテは間違いなく序盤戦の主役でした。
ほんとにこのポジションのアルゼンチン人は恐ろしい・・・。
サンプで唯一ポジティブだったのがカッサーノ。
キャプテンになって自覚が芽生えたのかコンスタントに良いプレーを見せています。
☆ＣＦ
まずは見事に復活したジラルディーノ。
あそこまであっさり復活するというのは良い意味で予想外でした。
サプライズという意味ではボローニャのディ・バイオはそれ以上。
2002年のカルチョの主役が久々に存在感をしめしてました。
遅咲きのＣＦとして注目されたナポリのデニスは期待通り。
もちろんリーディングスコアラーのミリートも外せません。
ビッグクラブではアマウリが期待を大きく上回る活躍。
完全にトレゼゲのお株を奪いましたね。
ＣＦは何気に全員新加入選手なんだな〜。
